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2008年06月Archives

2008年06月15日

『マイクロフォーマット』出版記念セミナーに行ってきた

ミツエーリンクスで行われた『マイクロフォーマット』出版記念セミナーに行ってきました。 今度出版されるマイクロフォーマット本の著者であるJohn Allsopp氏を迎えてのセミナーです。
内容は、第一部が木達さんによるマイクロフォーマットの概要的な話、第二部が木達さんとJohn Allsopp氏の対談でした。

会場は西新宿にあるミツエーリンクスの社内セミナールームでした。
会社の後ろの席の人と「多分いるんじゃね」と言ってたんですけど、思ったとおりネコゼさんとかforestkの人とかがいました。

第一部

第一部の内容は、個人的には大体理解している事だったので、よい復習になりました。 いくつか気になったポイントをピックアップします。

VoteLinks

VoteLinksはシンプルなマイクロフォーマットの一つで、ぼーとりんくす と発音します。
リンク先に対して賛成か反対か、はたまた意見を保留するかを示す事ができるマイクロフォーマットです。

これをlivedoorクリップやはてブなんかが採用したら面白いんじゃないかなと思いました。 何かの議論の時に賛成派の意見だけを取り出したりとか、その人のコメントのネガティブ率とポジティブ率とかも簡単に出せそうです。

参考リンク:vote-links-ja - Microformats

ブラウザのネイティブ対応の話

Firefox3では、機能としての対応は見送られたもののAPIレベルでは実装されているとの事。 つまり、拡張機能とかで今後面白いものがどんどん出てくるかもしれない。

現在開発中のIE8では、hAtomに「よく似た」WebSliceという機能があるとの事。 あーあーまた独自規格かよーと思わなくもないです。
John Allsopp氏的には、「一般の人にまで普及するならそれはそれであり」というような考えのよう。 まあそう言われると、一見遠回りなようで(将来的に規格を統一する事を考えても)結局は早いのかもしれないですね。

hAtomとWebSliceのコードを比較

John Allsopp氏が楽観視ともとれるような考え方をしていた事を少し不思議に思ったので、両者のコードを見比べてみました。

hAtom
<body>
 <div id="wrap">
  <div class="hfeed" id="content">
   ...
   <div class="hentry entry" id="post-60">
    <h3 class="entry-title">
     <a href="http://www.microformats.org/blog/..." rel="bookmark" title="...">Wiki Attack</a>
    </h3>
    <div class="entry-content">
     <p>We had a bit of trouble with ...</p>
     <p>We’ve restored the wiki and ...</p>
     <p>If anyone is working to combat said spammers ...</p>
    </div>

以下省略
hatom-examples - Microformatsより引用
WebSlice
<div class="hslice" id="webslice">
   <p class="entry-title"> MSN.com Slideshow </p>
   <div class="entry-content"> Latest content ... </div>
</div>
IE8 Beta 1でWebSliceを使う方法 - builder by ZDNet Japanより引用

必要な記述で異なるのはルート要素のみで、タイトルと内容には両者共通のclass名を使用するようです。 つまり、両立は容易です。 それなら尚更hAtom使えよと。
このままIE8がリリースされた場合には、hAtomに対応する場合にひと手間加えてWebSliceにも対応する、というやり方になりそうです。 ああ面倒くさい。
しかし、個人的にはWebSliceのためのid属性には納得いかないです。 「2箇所以上指定されるとめんどくね?」→「じゃあidも指定させちゃおうぜ」とかそんな理由だったりして。

なお、hAtomはドラフト段階ですしWebSliceもIE8がベータの段階なので、今後何か動きがあるかもしれません。

アクセシビリティの話

マイクロフォーマットとアクセシビリティの話になると必ずと言っていい程に取り上げられるのが、abbrデザインパターンです。 これは、本来は略語を示すためのabbr要素を使って、日時を意味づけるというマイクロフォーマットです。
つまり、abbr要素は略語のはずなのに、その内容には日時が記述される事になります。

これで困るのが、音声リーダを使用しているユーザです。 音声リーダが略語として読み上げると、ユーザが混乱してしまう恐れがあるという問題。
文脈に注意すれば上手い事ごまかす事はできるかもしれませんが…まあそういう問題じゃないですよね。 span要素を使っておけば余計なトラブルは起きなかったのではないかなとも思います。

第二部

第二部は、「非常に早口、かつ難しい言い回しをする」John Allsopp氏と、木達さんの対談です。 木達さんは通訳も兼ねているので、かなり忙しそうでした。

Johnの最近のマイクロフォーマット関連の活動は?
  • メジャーな製品を作ってはいない
  • トレンドを追いかけ、それを広めている
  • 企業や製作者からの質問を受けて、それに答えている
  • カンファレンスで講演をしたり、企業に行って説明会をしている
今回、日本に来た理由
Web Directions Eastについて
  • 海外から5,6人、日本から5,6人の講演者を予定している
  • 海外からの講演者には同時通訳がつく
  • 全部で4日間行われる大きなイベント
  • 土日はカンファレンス、月火はワークショップ
  • カンファレンスはデザイン系と開発系に分かれる
  • デザイン系には、HTML、CSS、マイクロフォーマットなど
  • 開発系には、JavaScript、ライブラリ、Ruby・・・(あとなんか早口で言ってたけど聞き取れませんでした)
マイクロフォーマットは、「卵が先か鶏が先か」という状態では?

補足:開発者は「ブラウザがネイティブ対応してないし、マイクロフォーマットの対応はもう少し見送ろう」と思い、ブラウザベンタは「まだあんまり使われていないからネイティブ対応の必要はないな」と思うジレンマについて。

  • マイクロフォーマットは素晴らしいアイディアとして生まれてきた。 しかし生まれてすぐには実現していない
  • 2,3年が経って、ようやくいくつかの大きなサービスで使われはじめた
  • 大事なのは、コンテンツ(情報?)、サービス、ツール
  • アメリカでは、Yahoo.comやSBMサービスなどで既に使われている
  • とくにYahooではサーチモンキーと呼ばれる検索オプションが存在する

参考リンク:ヤフー、「SearchMonkey」を一般公開 - 開発者のためのオープンサーチプラットフォーム :: SEM R
個人的にはこれ、興味を惹かれました。
Leveraging the Data Webを眺めた感じだと、オレオレマイクロフォーマットではなくて既存の規格でOKみたいな?

ネイティブにサポートしているブラウザがない件について
  • 数ヶ月前に、Firefox3がネイティブ実装を見送る決断をした。 我々にとっては残念な事だ
  • しかし、彼らは新しい事に対して慎重になる必要がある。 実装してからユーザが見向きもしない、ではダメージになるからだ
  • 例えば、マイクロフォーマットに対応しているか否かで、同じようなサイトでありながら一方では使える機能がもう一方では使えない、という事態になりユーザが混乱する恐れがある。 この辺りはユーザの成長も必要だ
  • 現在はAPIを利用する事が重要だ
  • 今、「マッパーヌーイ」というブックマークレット(?)を作っている。 hCardに関するものだ
IE8のWebSliceについて
  • ポジティブな見方をしている
  • ユーザが体験するいい機会だ
  • 現在はブラウザは、提供されたコンテンツをただクリックするだけだ
  • 新しいブラウザは、深い部分の情報を取り出して提供してくれる。 これはブラウザ2.0と言ってよい
アクセシビリティや国際化の際の問題について

補足:これらの問題が解決できれば、もっと広まりやすいのでは? という意図。

  • abbrデザインパターンに関しては、確かにアクセシビリティ的な観点で難しい側面がある
  • オンラインコミュニティでの議論でも緊迫した展開になった事がある
  • SGMLは巨大で難解な仕様だ。 HTMLはシンプルで、洗練された…スシのようなものだ(Johnにとって寿司は洗練されたものの代表?らしいです)
  • その洗練されたものを壊す事なく、増やしていく事はとても難しい。 しかし、マイクロフォーマットならばそれが可能だ
  • abbrデザインパターンの問題は、限界を突破しようとした時に生じる避けようのない問題と言えるかもしれない
書籍、マイクロフォーマットについて
  • マイクロフォーマットに関する事はこれ一冊で事足りる、という内容
  • 売れ行きはいい感じ。 1版は完売した
  • amazonでも上位1万にランクインした
  • 2版の予定は未定。 もし出るなら、アップデートされた内容を盛り込むので、1版と比べてかなり追加などがありそうだ
  • 日本以外にはフランス語版を予定している
日本語版書籍や、読者への期待を

マイクロフォーマットはメタデータである。 コンテンツとはレイヤが違う。 これは言葉の違いを乗り越えられる可能性を持っている。

質疑応答

ここで「いわゆるSNSなどでの友人関係をXFNで表すなら、どの値が適してると思いますか?」という感じの質問をしたんですが、これが解りづらい言い方をしてしまったせいでJohn氏にうまく伝わりませんでした。 あまつさえ貴重な質疑応答の時間を消費してしまい…申し訳ないです><
というか、今Twitterを見たらrel="contact"がついてた! それでいいんじゃないのか!? うわああああああバカ! バカ! バカ俺!>< 他の参加者の皆様、木達さん、ほんとすみません><

Q:WebSliceが普及したら、標準規格が二つ存在する事になりませんか?

A:それは心配していない。 それはそれでOKだ。

Q:余り詳しくない製作者にも「使いたい!」と思わせるような動機はありませんか?

A:実際に動くところを見せると、便利さが解って貰えるのでは(木達さんの意見)。


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