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JavaScriptを利用した動的なWebのアクセシビリティ のまとめ

前回、前々回の記事同様、Webアクセシビリティ ~標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための考え方と実践~出版記念セミナーのまとめです。

10章の翻訳をされたのは中村精親さんですが、セミナーでは渡辺さんが話をしてくれました。 内容はアクセシブルなJavaScriptについてです。
なお、便宜上この記事では音声支援技術をスクリーンリーダーと呼んでいます。
資料へのリンク

JavaScriptはアクセシビリティ的にも誤解されている

JavaScriptは、アクセシビリティを妨げる使われ方が多かった。 例えば、右クリック禁止やポップアップ・ウィンドウなど。
また、アクセシブルでないスクリプトにより、JavaScriptをオフにすると利用できなくなってしまうコンテンツが(現在でも)ある。

著者の主張

原著を書いたのはChristian Heilmann。 ChristianはWaSPのDOMスクリプティング・タスク・フォースのメンバー。

Christianは、でしゃばらないJavaScriptがよいと言う。 JavaScriptが無い環境でも得られる情報は同じで、JavaScriptが利用できる環境では更にリッチな体験ができる、というように。
(この辺、Webデザインで言うところのMOSeを連想させますね。 アクセシビリティ関係ないですけど)

JavaScriptは「振る舞い」を担当する

HTMLが構造、CSSが表現であるなら、JavaScriptは振る舞いであると言える。

RIAのアクセシビリティ

これは、書籍から離れた内容。 GoogleのiGoogleとGoogleドキュメントのアクセシビリティについて。
なお、この調査は渡辺さんの生徒さんによるものだそうです。

渡辺研究室の2007年度卒業研究「JavaScriptを利用した動的なWebのアクセシビリティ」(松田理沙)から,GoogleのRIAのアクセシビリティ問題のケーススタディを紹介.

との事。(資料11ページより)
(セミナーでは悪い点ばかりが取り上げられていましたが、良い点もあったのでしょうか? 気になるところです)

操作部分のHTML

ホームページリーダーを使用すると、キーボードで操作できない部分がある。 これらは内容を持たない要素と背景画像でコーディングされているので、HTML的には意味の無い存在という扱い。
他にも、Googleドキュメントにある「新規作成」というタブをクリックすると「リンクではありません」と読み上げられる(div要素やspan要素でマークアップしてあるため)。

ショートカットキー競合

Webアプリケーションのショートカットキーと、スクリーンリーダーのショートカットキーが競合してしまう事がある。 これは本質的な問題である。

追加されるHTML

Googleドキュメントでは、ドロップダウンメニューを開くとHTMLの最後にソースが追加される。 その為、スクリーンリーダーでは開いた時には読み上げられない。

動的なページ書き換え

例えば、nowaの管理画面では自動的に新着記事を表示しますが、スクリーンリーダーでは更新がなされた事を知る術がない。
WAI-ARIAのlive属性はこの問題を解決できるかもしれない。
(WAI-ARIAについては、梅垣さんの(今回のセミナーとは関係の無い)資料Ajaxアクセシビリティ~リッチ・インターネット・アプリケーションのゆくえ~が解りやすいかも)

個人的な意見

アクセシビリティ業界(?)では、JavaScriptは悪役にされがちな気がします。
hamashun個人としては、「全てのWebサイトはアクセシブルなJavaScriptを採用すべき」という必要は無いと思います。
伝えたい情報が伝えたい相手に正しい形で伝わる事が大事なのであって、HTMLやCSSやJavaScriptなどの技術はその手段であるべきだと考えます(ここで言う情報とはテキストのみならず、デザインや操作感も含みます (いわゆるUser Experienceと言えるかも))。

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