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アクセシブルなPDFとFlash のまとめ

前回の記事同様、Webアクセシビリティ ~標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための考え方と実践~出版記念セミナーのまとめです。

11章と12章を翻訳されたのはインフォアクシア代表の植木さんです。 内容はPDFとFlashのアクセシビリティについてです。
なお、便宜上この記事では音声支援技術をスクリーンリーダーと呼んでいます。
資料へのリンク

イントロダクション

FlashやPDFを取り巻く環境はコンテンツ、オーサリングツール、UAの3つに分けられる。 そしてそれぞれに対応するのがWCAG、ATAG、UAAGの3つのガイドライン(ちなみに作っているのはW3C)。
コンテンツは仕様とWCAGに準拠し、オーサリングツールは仕様通りに生成し、UAはコンテンツを忠実に変換して読み上げる必要がある。
これらが正しく動作して、はじめてアクセシブルになる。

課題はUA

コンテンツとオーサリングツールに比べて、UAの実装が遅れている。 更に日本で大きなシェアを持つホームページリーダーは、VistaとIE7はサポートしないと言っている。
FlashやPDFも、オーサリングツール側ではアクセシブルにする手段が用意されているが、やはりUA側がネックになっている。

PDFのアクセシビリティ

12章。 原著はAndrew Kirkpatrick。
Andrewはアドビ全製品のアクセシビリティ統括責任者。 以前は公共放送の字幕や副音声に関わっていた。

過去の問題と現在の状況

過去には、PDFはスクリーンリーダーでは読む事ができなかった。 また、キーボードでの操作も難しかった。
読み上げに対応した後も、セキュリティを設定するとアクセシビリティが犠牲になったりしていた。

しかし、バージョンを重ねるごとにアクセシビリティも向上してきている。
現在ではタグを埋め込む事で、HTMLに近い読み上げが可能(日本ではFocusTalkが対応)。

作成する方
アクセシブルなPDF作成フロー

Word文書を元にPDFファイルを作成する流れを解説。 Wordは2007との事。

  1. 文書構造を、書式→スタイル で定義する。 これはHTMLのマークアップと同じ感覚
  2. 画像ファイルには代替テキストを付ける。 alt属性のように。 画像を右クリックして設定→代替テキストタブを選択(オフィス2007の場合)
  3. 段組を使用する場合は、書式→段組 で設定する(表機能を使わない事)。
  4. 箇条書きや見出しも、それぞれのスタイルを使用する
  5. WordファイルをPDFに変換する
  6. 変換設定の変更 で各種設定を行う 参考:植木さんのプレゼン資料
  7. 変換する

InDesignから変換する事もできるが、タグ付けなどの面で厳しい。 要素名を自由に設定できるので、逆に厄介。

アクセシブルチェック機能

詳細チェックはProfessional版を使うとよい。
アドバンスド→アクセシビリティ→完全チェック を選択。 詳細なエラーやその修正方法が表示される。 画像の代替テキストを忘れていた場合など、エラーテキストをクリックすると対象の画像を示してくれるので親切。
たまに関係のないエラーが出る事もあるので注意。

読む方

各種設定を変更する事で、リーダーをアクセシブルにできる。

  • 編集→環境設定→アクセシビリティ でコントラスト、背景色、文字色を変更できる
  • 表示→折り返し で横スクロールせずに画面を拡大できる
  • 表示→自動スクロール で画面の自動スクロールを設定できる(これは使い勝手は微妙)
  • 表示→読み上げ で読み上げる事ができる(英語エンジンしか積んでないので、日本語は微妙)

Flashのアクセシビリティ

11章。 原書はBob ReganとAndrew Kirkpatrick。
BobはFlashのアクセシビリティで有名な人だとか。

過去の問題と現在の状況

スクリーンリーダーで読む事ができなかったり、一度Flashにフォーカスするとそこから抜け出せなくなったりしていた(いわゆるフォーカストラップ)。

現在ではFlash(オーサリングツールの方)にアクセシビリティパネルが搭載されている。 これで代替テキストを割り当てたり、フォーカスの順序(tabindexみたいな)を指定できる。
CS3では動画に字幕を付ける事も容易。 また、プレイヤー側でフォーカストラップは解決済みである。

アクセシブルなFlashのベストプラクティス
  • 等価テキストを提供する
  • 状況を伝える
  • 音声読み上げ順序を制御する
  • アニメーションを制御する
  • キーボードで操作可能にする
  • 段階的に情報を公開する
  • コンポーネントのアクセシビリティを有効にする
  • キャプションを提供する
  • 音声再生のコントロールを提供する
  • よく考えて色を使用する
  • ロービジョンのユーザーをサポートする
  • Flashをサクセシブルに埋め込む

書籍の388ページ以降に、詳しい解説が載っています。
下記に、セミナーで解説された内容を記述します。

等価テキスト

アクセシビリティパネルの名前フィールドに、alt属性のように記述する。 説明フィールドは使わない方が無難との事。
等価テキストが不要な場合は、「オブジェクトをアクセス可能にする」のチェックを外す。 これにより「意味を持たない画像」のような扱いになる。

状況を伝える

全体の構成を説明する。 どんな画面で、どんな情報で、どんな機能なのか。 概略ページへのリンクを設置してもよい。

HTMLページの一部にFlashのコンテンツを設置する場合には、Flashと連動する動的なテキストで現在の状況を知らせる。
(感覚的に解りづらいんですが、動的なコンテンツには、その時の状況を知らせるテキストを動的に出力する必要がある、という事だと思います)

CS3の新機能、字幕を簡単に付ける

Flash CS3では、簡単に字幕を付ける機能が追加された。

  1. ファイルを開く
  2. コンポーネントの選択でビデオ→FLVPlaybackCaptioningをドラッグしてステージへ
  3. パラメータを指定する

字幕部分はシンプルなXMLファイルになっていて、表示されるテキストやその文字列が表示されるタイムラインなどが記述されている。

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